入園NO,301番の新入生をご紹介
仮名:がく
生後5ヶ月位の男の子です。
がりがりですが、なかなか可愛い白きじ君です。
でもよく見ると…
顎が…
がくは下顎骨折です。
それだけではなく、下顎の肉と皮膚が、べろ〜んと骨から剥がれていました。
一体どんな状況でそんな酷い怪我を負ったのか、皆目見当もつきません。
5月7日、がくは突然堺市のある会社に現れました。
この会社は仲間のやちゅさんがお勤めしていて、見慣れない猫の様子に気になって見に行くと…
そこにはどろどろに汚れて、がりがりに痩せて、何やら異臭漂う小さな猫さんがいたのでした。
とにかく助けが必要な様子に、すぐ箱を用意して保護。
箱の中でこの猫さんは安心した様に横になって丸まったそうです。
電話を貰った時、私ととんちゃんは次々入園する子猫受け入れの準備に大わらわでした。
でもやちゅさんと話してみると、そうもその猫さんは顎に怪我をしている様子なので、外科的手術も得意なベルさんに走るのが一番、と考え、仕事が終わるやりゅさんを迎えに堺迄車を飛ばし、そのまま池田のベルさんに向かいました。
病院で事情を説明すると、すぐレントゲン撮影。
その結果、下顎がまっぷたつに縦に割れていることがはっきりと分りました。
おまけに皮膚が剥がれていて、その内部がかなり膿んでしまっている。
この猫さんの、車に充満する程の異臭は、この膿が原因でもあったのでしょう。
早速、今後の治療方針を考えます。
下顎が腫瘍等によって失われてしまう事は、老猫さんにままあることなのだそう。
その為自力で食べられなくなる事もあり、そうなると胃にチューブを通して…という大掛かりな介護が必要になります。
この子もこの状況が結構長かったようで、既に骨の一部が溶けている模様。
今後の外科的手術でどこまで下顎を残せるのかが、決め手になるかもしれないけれど、まずはがりがりに痩せた身体をどうにかしないと、今の衰弱した身体では麻酔に耐えられない。
外科的手術にはお金が掛かります。
加えて今後の介護が必要となったらどうするか。
この子の状態では、安楽死を勧める獣医師も多いでしょう。
また多額の資金を使って一匹の猫を救うよりも、その資金でもっと多くの猫を保護することをよしとする保護活動のあり方もあるでしょう。
長年連れ添った愛猫さんとは違って、今日数時間前に初めて会った猫さんということもあります。
正直私もやちゅさんも悩みました。
院長とも相談し、私達はやはり、まずは積極的に治療をと願いました。
でもそのすぐ後に、この猫さんの異変に気付き、、思わずこれはもう駄目なのかもしれないと思ってしまったんです。
長くなるのでその2に続きます。