

黒猫元気とキジ猫まーくん。
べったり仲良しってほどではないんですが、相性は悪くない二匹です。
いらちな性格の元気が癇癪起こして八つ当たりしても、まーくんは決してやり返したりせず、そっと引いてくれる優しい性格なので、元気にとってはありがたい存在って感じですね。
で、この黒猫元気、別名こぐまちゃんは年末から先日まで里帰りとして猫の幼稚園にいました。
卒園したのは2016年12月。
50代半ばの女性Yさんとそのご両親の仲良し家族に迎えて頂き、一人息子として溺愛して戴いておりました。
2017年初夏にYさんが一ヶ月入院、同時にお父様も体調を崩し入院し、一人おうちに残るお母様が不安になって夜お布団の中で涙ぐんでいると、元気がそっと涙を舐めて慰めてくれたそうです。
一月程して家族みんながまた楽しく暮らせるようになって、私たちも大いに安心しておりましたが…
12月中旬になって、Yさんから再度入院する旨のメールが届きました。
今度は戻ることがきるかどうか判らない、両親にもグループホームに入って貰おうと考えているので、どうか可愛い元気を猫の幼稚園に戻し、新しいご縁を探してやって欲しいと。
すぐに彼女と相談し、12月29日に東吉野まで迎えに行ってきました。
高齢のお母様は、元気と離れるのが辛くて寂しく、大泣きで…
私に「気難しいところのある子やから、どうかよろしくね」って。
この一言で、元気がどれ程、ご家族に愛されて自由にのびのび暮らしていたか、理解できました。
お母様は、Yさんの体調不良と同時にお父様もまた体調を崩し、再入院されていたので、元気と離れて一人になるのが本当に心細かったのだと思います。
でもYさんは、日々、ヘルパーさんに手助けして貰いながらのお母様の生活では、以前のようにお母様と元気だけでお留守番するのは無理だと考えられたんですね。
Yさんはこうして病の身で毎日奔走し、自分に不測の事態が起こった場合のことを想定し、すべての手配を考え後顧の憂のないように準備を進めていらっしゃいました。
ガラス工芸作家として創作活動していたYさんの無念や、高齢のご両親を想う気持ち、その胸の内を思うと言葉もありません。
ただ一点、元気は全く見ず知らずの方に託すのではなく、仲間の修平さんが生涯大切にしてくれることになっているので、その点は安心して戴けたのが、せめてもの救いです。
それでも彼女の闘病の励みになればと願い、また家族と離れて不安なお母様にせめてもの慰めをと考えて、元気をすぐ卒園させるのではなく、里帰りとしてお預かりし、毎週元気からの手紙をグループホームで過ごすお母様に送り続けました。
1月半ばからYさんとのLINEに既読がつかなくなり、不安に思っておりましたが、Yさん、闘病虚しく二月下旬に身罷られました。
もう一度、元気に会って貰えればと願っていましたが、本当に残念です。
仲間と元気の今後の事を相談し、三月初旬、元気を連れて橿原まで走り、お母様に元気に会って頂きました。
施設内には元気は入れないので、車の中での面会でしたが、泣いて喜んでくださいました。
以前元気を送り届けに伺った際、一緒に行った仲間の所に移動して、生涯可愛がって貰えるからと説明すると、何度もなんども元気に「いい子にして可愛がって貰うんよ」って。
部屋に戻ると、ベッドで休んでいるご主人に自慢するように「元気に会ってきたのよ!」って嬉しそうにお話しされていたのが印象的です。
お母様のベッドの枕元には、今まで送らせて戴いていた手紙が置かれていました。
あんなに喜んで下さっているなら、修平さんから写真が届くのを待って、またお母様に元気からの手紙を送り続けたいと思います。

もし、Yさんが再入院の際取り乱していらしたら、ご両親は今頃途方に暮れていらしたろうと思います。
きっと元気のことも可愛くてしかたないけれど、どうしたらいいのか判らなかったでしょう。
Yさんが冷静に考え、あらゆる事を準備して下さったお陰で、元気はスムーズに次の暮らしへと移行できました。
Yさんの生き様のなんと天晴れなことか!
同じ独身女性として、私も考えさせられる出来事ですし、猫の幼稚園では常々独身者へも譲渡しておりますので、今後同じようなケースが出てくる事は十分考えられます。
いつも譲渡時に、不測の事態の際には猫の幼稚園にも連絡をとお願いしているのはこの為でもあるのですが、どうかこの記事を読まれた皆様にも、ぜひご自身のもしもの際の愛猫さん達の行く末について、今一度考えてあげて下さいね。
最後になりましたが、
Yさんのご両親の日々が、心穏やかなものでありますように。
そしてYさんの御霊が安らかでありますように、合掌。